・・・前回記事の終わり部分。
(単年度の生活費があっがていきます。55~66歳までトータルすると1522万円です。つまり1522+100(60歳までの国民年金保険料)=1622万円。また、年金保険料の値上げも考えられます。ちょっとした家の修繕とか考えると、1900万円ぐらいは持っておきたい。しかし、それでもやや心細いし、それだけでは済まされません。年金を受給し始めたとしても”足が出てしまう”からです。)
では、①の続きと参りましょう。参考までに、20歳~60歳まで、免除などもなく満額保険料を納めた場合の国民基礎年金(いわゆる一階部分。Bはそれのみです)の、65歳からの支給額は約65000円だそうです。
67歳から年金受給開始の続きで、男性の平均寿命は81.47歳とされていますので、Bは82歳まで生きるものと仮定。インフレ率も1%を継続します。すると、単年度の生活費は・・・
67歳 135万円(年金月6.5万円×12カ月=78万円ですから、57万円足が出ます)
75歳 146万円
82歳 155万円
・・・と、年々増えていき、67~82歳までをトータルすると2334万円となります。ざっくり2400万円。1%のインフレでもかなりきついですね。一方、年金で貰えるのは、78万円×16年=1248万円。トータルで2400-1248=1152万円足が出ることになります。先ほどの1900万円を足し合わせると3052万円。やはり3100万円は遺産がないと無理ということになります。これでもカツカツですけどね。おまけに、大きな病気とかは想定していないので、いかにヤバい綱渡りであるか想像できます。
実際の所は「マクロ経済スライド」という制度で、インフレ率に見合った年金額を与えるということになってはいます。これでインフレ分を吸収できるから大丈夫!という見方もありますが、実はこの「マクロ経済スライド」・・・現役世代の賃金上昇具合に影響されます。乱暴な説明になるかも知れませんが、ごく簡単に言うと、実際のインフレ率が1%でも、賃金上昇が0.5%にとどまってしまった場合は、こちらに合わせてしまうというもので、つまり「必死こいて働いてる現役世代と痛みを分かち合え!」、「もはや高齢者天国の継続は無理」という考え方に基づくのもです。
現役世代の時代に一切働いてこなかったBは、ここでツケを払わされるという格好になります。当然の報いと言うのも気の毒な気もしますが、現実はこうです。「人が足らん!」と悲鳴を上げる業界に、Bのような人を育成して投入するような、十分な取り組みをしてこなかった政府の責任も見逃せないところではありますが・・・。
さらにもう一つ気になる要素があります。それは、Aから居住用の宅地を相続した場合も、その宅地の評価額が相続財産に入ってしまいます。たとえば宅地の評価額が2000万円あった場合。3100万円+2000万円=5100万円が相続財産と算定されます。宅地の評価額については、自治体から毎年来る「固定資産税」の明細を、納税後も捨てずに保管して確認しておくことをお勧めします。そこに記載されている固定資産評価額を確認することによって、遺産総額がどのくらいになるか、あらかじめ計算しやすくなります。
厳密に言うと、土地の相続税は路線価という指標で計算されるものであり、固定資産税の算定基礎となる評価額とは若干の乖離があるのが通常ですが、4割とか5割とか、目ん玉が飛び出るほどの大きな乖離は有りませんので、概算としては、ある程度の目安にはなると思います。
なお、相続税にも控除額があり、3600万円+600万円×(法定相続人の頭数)が控除されます。Bは一人っ子なので、3600万円+600万円=4200万円が控除され、相続税課税対象は5100万円-4200万円=900万円となります。この場合の税率は10%なので、Bは90万円を相続税で持っていかれる事になります(さらに厳しい)
なお、小規模宅地については、特定居住用宅地等に該当(面積330平米が限度)する場合、評価額は80%オフで計算してもらえるという特例があります。これに該当すれば、遺産総額も相続税もその分下がるということになります。
以上、きわめてざっくりとした簡易な試算でありました。どうも変。数年前に流行ったこの手の記事では、わりと楽観的でお花畑的な見通しが多かったような? ここ数年の環境悪化が凄まじいようですね・・・。それではまた。
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