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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊸どうなるこの遺言? 受遺者が先立ってしまったよ。

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

 

さて、遺言をしておいたものの、遺産を譲りたい相手が先に死亡してしまうようなこと、無いとは言い切れませんよね・・・・・・。こんな場合どうなってしまうのかについて、今夜は解説したいと思います。

 

ご存じの通り、犬神佐兵衛は、血のつながりのない「野々宮珠世」に、犬神家の財産すべてを与えるという遺言を遺しています。このように、本来ならば全く相続に関わりのない人物に遺産を与えることをよく「遺贈」という言葉で呼びます。

 

犬神家の場合ですと、法定相続人は松子・竹子・梅子の三人の姉妹ということになりますから。本来ならば、珠世は全くの部外者です。

(原作を読む限り、菊乃に産ませた静馬を認知した形跡もなく、また、松子・竹子・梅子それぞれの夫との養子縁組をした様子も伺えませんので)

このような前提条件で、珠世が先立ってしまった場合どうなるのでしょう。条文によると・・・

 

民法994条1項:遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

つまり、佐兵衛の遺言の「珠世に全財産を与える」という部分について、無効となります。無効となった部分(犬神家の場合は100%です)は法定相続に戻ることになります。

 

ここで、ちょっとシンキングタイム・・・。仮に珠世に子供がいた場合ですが、珠世に代わってその子が代襲相続することになるのでしょうか?    

( ^ω^)・・・??

 

答えは「×」です。代襲相続というのは、本来の相続人(法定相続に則る推定相続人)の子が、死亡した推定相続人に代わって相続する制度ですから、珠世に子が居ようと関係ありません。残念ですが・・・。

 

そこで佐兵衛翁。よく考えたものです。珠世死亡のケースも見越して、このように続けています。珠世が居なけりゃ、次、佐清・静馬の出番だぞ! と言わんばかりです。

 

 

横溝正史犬神家の一族』より

「ひとつ。・・・・・・もし野々宮珠世にして、斧(よき)、琴、菊の相続権(厳密に言うと受贈権です)を失うか、あるいはまたこの遺言状が公表されてより、三か月以内に死亡せる場合には、犬神家の全事業は佐清によって相続され、佐武、佐智のふたりは、現在かれらの父(それぞれ犬神製糸の支店長の職についています)があるポストによって、佐清の事業経営を補佐するものとす。しかして、犬神家の全財産は犬神奉公会によって、公平に五等分され、その五分の一ずつを、佐清、佐武、佐智にあたえ、残りの五分の二を青沼菊乃の一子青沼静馬にあたえるものとす。ただし、その際分与をうけたるものは、各自の分与額の二十パーセントずつを、犬神奉公会に寄付せざるべからず「犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5」 横溝 正史[角川文庫] - KADOKAWA

 

 

佐兵衛に限らず、一般の人も状況の変化に合わせて「遺言」を差し替える。または、状況の変化を見越して、追加的な条項をあらかじめ盛り込んでおく。そういう工夫が必要な場面もありそうです。「○○さん」がダメなら次は「△△さん」という具合ですね。なお、「遺言」の「撤回」は自由にできます。

民法1022条:遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

 

それではまた。

 

 

 

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閑話・・・親族・相続法と家族法(法律学の無駄知識)

 皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。定休日につき、本日はちょっとした小ネタで失礼します。親族法・相続法、これについては何度も言及してきましたが、一方で家族法という言葉を耳にされた方はいませんか? 

 ぶっちゃけ親族・相続法も家族法も同じなんです。家族法を二つにバラして親族法と相続法に分けて表現する人も居れば、親族・相続法と併記する人も居る。はたまた、両者をひっくるめて「家族法」と呼ぶ人も居る。そんな感じです。関連書籍のタイトルも「家族法」とか、「親族・相続法」とか、「相続法」とか様々です。場面に応じてこれは範囲の広い書籍、これは狭く深く掘り下げた書籍などと、判別する基準のような役割を持っています。そして、家族法なのですが(私自身は親族・相続法と併記して呼びたい派です)、これは民法の一つのパートに過ぎないということです。

 民法の構成ですが、「総則」・「物権」・「債権」・「親族」・「相続」と5分割の構成になっていると言われています。お尻の2パートをまとめて「家族法」と呼ぶということですね。あえて細かく分ければ親族、相続、みたいな感じ・・・。ですから、民法と言っても人によって得意分野は違います。「物権」・「債権」にはめっちゃ強いけど、「家族」はイマイチ、という人もいます。人によっては必修の「総則」だけやっておいて、刑事、商法、会社法に行っちゃったという人も多いです。(学校によって微妙に変わるかも知れませんが、おおまかな共通カリキュラムで言うとこんな感じ)

 私ことsukekiyo-kunは民法を一通り履修しましたが、成績はというと「総則 優」・「物権 良」・「債権 良」・「親族・相続 秀」こんな感じで、かなり家族法に得意分野が偏る構図になってしまいました。ちなみに、行政書士試験の受験者の間で、得点源とされる行政法の分野ですが、大学での成績は”可”でした。

 実際、行政法が結構簡単だと言われた令和3年度の行政書士試験ですが、択一19問のうち取れたのは14問。試験後に各予備校から流されていたYouTube上の解説で、著名な講師陣が「まあ、今年の行政法は17問くらいは取れてないとねぇ~・・・論外ですよ♪」と言っていたのを聞いて _| ̄|○ ジシンソウシツ・・・ギョウセイホウノセンスナイモンネ。

 一般に言われていた得点源で稼げませんでしたが、みんな諦める商法・会社法で2/5稼いで穴埋め。基礎法学・憲法のとりこぼしを1問に抑えた結果、蓋を開けてみれば合格でした。しかし、記述式の採点も終わって結果発表の日まで二か月以上、精神衛生上最悪の日々を過ごさせていただきました。

 

最後に法律用語の無駄知識をもう二つ。

遺言・・・ゆいごん× いごん○

兄弟姉妹・・・きょうだいしまい× けいていしまい○

だそうです。