sukekiyo-kunのモーレツ!小ネタ教室!

地位・貧富・名声・思想・信条・主義主張関係なし!・・・小ネタの前では皆平等。皆で阿呆になれ!

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊿血より金! 金の切れ目が・・・(後編)

|ω・) ソーッ  皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

 

前回記事(前編)の続きとなります。

sukekiyo-kun.hatenablog.com

 

まずお断りしておきますが、本当に身寄りがなくて、お金もないという方は行政を利用してください。そういう時のための行政でもありますので。

ここでは、なにがしかのお金が残っているのに、それを使用できずに、税金から出すしかないという状況を防ぐための、個人としての工夫。そのための方法を考えてみます。

では・・・。

 

「はー。どっこいしょっと・・・」

「あらあら。お爺ちゃん座り込んでしまいましたね。手に持ってるのは、プロテインバー?」

「アンタの話、長うなりそうやからな。長期戦覚悟の腹ごしらえや」

そうですか、では遠慮なくw

 

色々とネットで調べてみたら、大体というか、ざっくりとした必要金額が見えてきました。どうやら以下が相場の価格のようです。

火葬(直葬):20~30万円

特殊清掃:5~10万円

合祀墓:3万円~

海洋散骨:5万円~

これをまとめると(-ω-;)ウーン。50万あればギリいける感じですかね?

 

「ほう? 150万ならお釣りがくるな。残った部分は、全部国庫に差し上げることにするわ」

 

ただ、それだけ残しても、実際に葬祭をしてくれる自治体が、スッと預金を引き出せない仕組みなんですね、現状は。だから読売の記者も「制度の変革が必要」と書いてるわけです。社説:独居者の弔い 時代に即した制度が必要だ : 読売新聞

更に言うなら、シンプルに葬祭費だけで済むかと言えば、そうでもない。

戸籍謄本なんかを当たって、相続人の不存在確認調査を請け負うのが、弁護士だったり、手前味噌で恐縮ですが、我々行政書士も出来ますけど、正直言って、金にならない案件を受けたがらない弁護士も多いみたいです。だから、必然的に報酬が高止まりして硬直化しやすいんですね。

 

それというのも、弁護士が仕事の依頼を受けるか蹴るかは、その人の自由裁量で認められているんです。ところが、行政書士は入って来た依頼を、余程の事情がなければ蹴ることは許されていません。だから、お爺ちゃんのような人には、行政書士の方が使い勝手がいいかもしれませんね。

 

具体的には、「自筆証書遺言」を残しておくこと。これがひとつの方法です。例えば遺言書の中にこう書いておく・・・佐兵衛調の古めかしい文体でGO!

 

一:我が葬祭に関しては、別紙・財産目録に記載の〇〇銀行××支店の普通口座No1234567より捻出することとし、上限50万円を目安に、必要最小限の葬儀に留むるべし。

一:仮に相続人あるいは特別縁故者が判明したる場合に於いても、その者に与ふる遺産はないものと定め、葬儀ならびに遺言執行に必要な経費を控除したる後の残余額については、国庫に帰属させるものとす。

一:遺言執行者には△△氏を指名し、葬儀の手配ならびに、相続人調査、その他必要な死後事務を委任するものとし、財産総額2%相当の報酬を与ふるものとす。

・・・・・・こんな感じでしょうかね。

 

ちなみに、遺言執行者ですが、未成年や破産した人以外(民法1009条)であれば、誰を選任しても法律上はOKです。でも、しっかりした人や法人を選ぶ方が無難でしょうね。そういう問題に取り組むNPO法人や、安い案件も大歓迎の士業とか、場合によっては、葬儀屋さんが、事業の一環、サービスの一環として、死後事務の委任を受けてくれることもあるようです。

 

ちなみに、自治体を遺言執行者に指名することは、現在の運用上できません。というか、引き受けてくれません。遺言執行はお上の仕事ではない。というのが定説になっているようです。ここも将来的には、制度設計が変更になるかも知れませんが・・・。その時には既得権益層がやっきになって反対しそう。一筋縄ではいかないかも知れません。

 

さらに、これはもうウルトラC級のウラ技ですが、遺言執行者に残余額を遺贈することもできます。遺言執行者=受遺者という図式もOKなんです。死後事務を頼みたい人が、よほど気に入ってしまった場合には、そういうのも別に違法ではないようです。

ちなみに、遺言執行者の報酬ですが、財産総額の1~3%が相場と言われているみたいですよ。

 

国庫に帰属と言う部分は、放っておいても自動的に手続きが進んでいくので、要らないかも知れませんが、敢えて書いておくことで、故人の「意思の強さ」を表明する効果は生み出せそうです。

 

「なるほど、ワシみたいな者も遺言書は書いといたほうがええ?」

「そうですね。その方がいいかも。書いた遺言書を法務局にもって行くと、ずっとそこで預かってくれるので安心ですよ。初回に手数料4000円ほど取られますけど、これで安心が買えるんです」

 

最後にしょうもない蘊蓄をひとつだけ。

葬祭費用について、誰の負担とすべきか? 大きく分けて三つの有力説があります。

1.喪主が全額負担すべき(喪主負担説)

2.相続人間で分担すべき(相続人分担説)

3.相続財産から出すべき(相続財産負担説)

以上の3つです。お爺ちゃんの場合は1.と2.の説は使えませんから、必然的に3.の相続財産負担説を採用することになります。自治体が葬儀を肩代わりしたあと、故人の預金から充当する。というのは、相続財産負担説が根拠になってると思います。

 

残念なことに、死後事務委任や遺言執行者と言った制度ですが、現状は金持ちしか使えない。貧乏人は使いづらい・・・という現実もあります。廉価で請け負える人が増えるなど、そういった政策も必要なのではないかと思います。

 

それではまた。

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊾血より金! 金の切れ目が・・・(前編)

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

今朝の新聞で、興味深い記事を見つけましたので、まず紹介します。厳密に言ってしまうと、相続法とはちょっと違う話ではありますが・・・。

www.yomiuri.co.jp

 

簡単に言えば、独居死した方の葬祭のあり方についてです。なかでもゆゆしき部分はここです。

"大半は一人暮らしの高齢者で、身元が分かっても家族らに連絡がつかなかったり、引き取りを拒否されたりする例が多いという。"

社説:独居者の弔い 時代に即した制度が必要だ : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 

家族なら引き取って墓建ててやれよ! 金がかかって困るなら、比較的安く済む納骨堂に収めておやりなさい! 葬祭とはちょっと話がずれますが、扶養義務を死後に延長して考えてみたら参考になるかもです・・・、

民法877条1項:直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

同2項:家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項(1項)に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

 

このように規定されているんですけど・・・。えーと。アレ、聞いたことありませんか? 生活保護を申請すると、親類縁者に一通り役所から電話が行く。これって、877条が根拠になっているとも考えられます。公的扶助よりも、まずは私的扶助を優先させる考え方です。しかし、最近はこういった連絡を控える自治体も増えているとも聞き及びます・・・。それから、2項の”特別の事情”というのは、経済的にかなり余裕があるだとか、生活困窮者が扶養を請求する等々の要素が考えられます。

 

ちなみに三親等(詳細は次のシリーズで触れたいと思います)は自分から見て、祖父母や孫(直系血族)はともかく、直系でない叔父叔母・伯父伯母、甥姪まで入ってきます。更には、配偶者側の血族(姻族インゾクといいます。これも次シリーズで)にも該当者が出てくるわけですが、独居老人なので配偶者側の方は、この際あまり気にしなくても良いでしょう。

 

悲しいかな、こういう義務を放棄する人々も、少なからず居るというのが現実です。金がなければ、親族ですらそっぽを向いてしまう・・・文字通り、金の切れ目がなんとやら。金の切れ目が、血の繋がりをもぶった切ってしまうという現実です。もっとも、感情的な対立だとか、金以外の要素でそっぽを向かれてしまうこともあるとは思いますが・・・。

 

こういうわけで、心ならずも、行政のお世話になってしまう方が増えているというのが問題視されています。亡くなった方の預金などが足りなければ、火葬や埋葬の費用差額分は自治体の財政。つまり税金が充てられることになります。記事によると、神戸市ではその差額が年間で1000万円にのぼったそうです。

 

別に、お上の手を煩わすのはけしからん! とは思いません。本来そういうのが、お上の仕事ですから。それから、「冷たいことを言うなよ」と思われるかも知れませんが、神戸市の1000万円超過の例を見ても、「それだけの分が浮けば、市政規模なら結構使い途あるじゃない?」というのが正直な感想です。もっとも、その前に議員報酬高過ぎ、議員定数多すぎ、書士会総会後の呑み会に出てくる時間があるのなら、ほかにやれる事ありませんか、思う所は色々ありますが・・・。

 

神戸市の1000万円は、もともとお金がない人に対する立て替えなので、それは仕方がないとしても、自治体が管理しているだけで、穴埋めに活用出来ないお金が多いというのは痛い。全国で21.5億円。単純に47都道府県で割っても一都道府県当たり4500万円余りです。記事にはありませんが、アパートの部屋に「いくらかの預金があるので、火葬代に充てて無縁仏にして欲しい」と書き置きして亡くなったある御老人。結局、自治体はその預金の払い戻しを受けられなかったというケースもあります。

 

ほかに亡くなった御老人がたも、「ワシの預金150万、あそこにあるのに・・・。なんで? 迷惑かけるつもりなんて毛頭なかったんやで」と、虹の橋の向こうでもどかしい思いをしているかも知れません。しかしお爺ちゃん。向こうからいくら叫んでも、娑婆にその声は届きませんので・・・。残念ですが、化けて出ても、相手が「見える子ちゃん」でない限り解ってもらえません。

 

 

・・・・・・・・・

「こんなことになる前にお爺ちゃん? 生前にやっておけば良かったって思う事、ありません?」

「もちろん金やろ? 150万やで! 火葬場の費用ぐらいは残したはずやのに・・・」

「血の出るような150万円ですね。でも、お金を残すだけじゃダメなんです。万が一相続人が居たらと思うと、うっかり預金の払い戻しも出来ない。だから、銀行のガードが固くなるのも仕方ない。銀行にしても、相続人からドロボー呼ばわりされたら、困りますし」

「しかし、わし天涯孤独やで? 相続人なんか居てへんの判り切っとるがな」

「判り切っていても、一応戸籍とか調べてから、相続人不存在の確認を取らないとダメらしいんです。例えが悪いけど、お爺ちゃんが知らないところで、異母兄弟とかが居るかもしれません。お役所にも問題はあります、相続人の調査なんかができる人材が不足しているとか」

「犬神佐兵衛やあるまいし! ウチの親父は浮気なんかしとらんわ。もう! どないせえっちゅーねん? 」

 

 

では考えてみましょう。心ならずも、同じ庶民としてのなけなしの税金に手をつけて、将来世代にほんの少しであっても、ツケ回しをせずに済む方法を。個人として、どのような工夫が可能なのか検証してみたいと思います。次回も、おひとりさま必見です。

 

 

それではまた。

 

 

 

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊽最終奥義ウラ技・孫養子の使い方

おはようございます。

この時間帯に記事を上げるのは異例なのですが、本日午後から書士会の支部総会が開催されますので、前倒しということにさせて頂きました。夜に更新・・・とも思いましたが、総会後の呑み会でへべれけになってしまえば、更新も何もできなくなりますので。

 

孫養子という方法は、実はそんなに使う場面があまりありません。大体、みんな長幼の順番通りに、普通に虹の橋を渡ってくれるからです。

 

ところが、そうもいかないケースが時々あります。いわゆる「逆縁」というものです。しかし、そんな場面でもあまり孫養子の出番はないでしょう。血の繋がりのある孫であれば・・・。ところがです、

孫が養子の子であった時は、孫養子の出番となる場合があります。不幸にも二人の子が先立ってしまったケースですが、上のケースだと、同じお孫さんだというのに、CはOK、Yはダメという気の毒なことになってしまいます。なぜかと言うと・・・

 

民法887条2項:被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は891条の規定(欠格)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人直系卑属でない者は、この限りでない。

・・・ということなのです。養子縁組前からの連れ子であった場合、被相続人Aとの繋がりは薄いものとみなされてしまうわけです。つまり、再婚のパターンで配偶者の連れ子と養子縁組しておかないと、その子に相続権が発生しないのと同じメカニズムということです。理不尽な規定にも見えますが・・・・・・、

 

有りましたよね? 去年だったか一昨年だったか? 財産狙いで偽装の養子縁組をして、養親を殺害したという男の事件。こういう事件がある以上、やはり仕方がないのかな? とも思ったりします。まったく。親族・相続法を究めようとするにしたがって、「人間不信」というのが強まってきてしまいます。おっと、すみません。ただの愚痴です・・・。

 

では、気の毒な孫Yくんをどうにかしてあげる手段はないか? あります。最終奥義である「孫養子」です。

このようにしておけば、孫Yくんは被相続人Aの子という地位を獲得し、ひいては相続権も発生します。ちょっと違和感を感じる部分もないではないですが、現行の法制度がこうであるならば、この手段はやむをえません。孫でダメなら養子で直系卑属の地位を取らせよ。ということです。

 

ということで、シラフであるうちに解説をさせて頂いた次第・・・。これで今日は心置きなく飲めるw  ついでにマスク着脱の状況もリサーチして置こうと思います。

 

それではまた。

 

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊼死亡退職金の扱いと特別受益

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

前回のお話で、生命保険の死亡保険金について触れましたので、これについてもスルーは出来ないなということで、今回は、勤め先から支給される「死亡退職金」について解説したいと思います。

 

死亡退職金の定義ですが、死亡退職によって支給される金額が、死亡から3年以内に確定したもので、退職金という名でなくとも死亡手当金や功労金など、死亡が原因になるものです。

 

ただし、いわゆる常識的な香典というか、弔慰金のようなものは入らないとされています。よほど高額であれば入ってくる可能性もありますが・・・。

なので、死亡退職金の支給がなくても、それに匹敵するような金額であった場合は、弔慰金と言っても要注意となります。

 

また、これらについて、生前に退職していた場合でも、支給額が死亡から3年以内に確定したものは入ります。

ちなみに、別の話ですが、死亡退職金の相続税非課税枠について、死亡保険金と同様に、500万円×法定相続人の頭数となります。

 

前回使った図をそのまま使いまわしw 上図の通り、勤め先に「配偶者に優先して支給」のような規定がある場合ですが、この場合は、配偶者の固有財産として扱われるため、特別受益として持戻しの対象にすべきではない。と考えられています。

 

また、固有財産であって相続財産にカウントされない・・・ということは、例えばBが相続放棄していたとしても、死亡退職金については、受け取りが可能という理屈になります。では、次のケースに参りましょう・・・

 

勤め先に明確な規定がない場合ですが、これではどうなるか? この場合、死亡退職金は相続人共有の相続財産に含まれることになります。すると、生命保険の死亡保険金のように、持戻しが発生するケースも出てきます。配偶者の勤め先の規定がどうなっているか? 一度確認してみることをお勧めします。

 

また、Bが相続放棄していた場合ですが、この場合Bは死亡退職金も受け取ることが出来なくなります。これが全体的な実務場面においては多数派のようです。ただし、持戻しを認めなかった判例もあり、説の対立も伺えます。

 

 

 

ある財団法人に、死亡退職金支払いの規定がなく、生存配偶者に死亡退職金が支給決定された。この事案においても、相続人代表として生存配偶者に支給されたのではなく、相続という関係を離れて、生存配偶者に支給されたものと解すべきである。

(昭和62年3月3日最高裁判決)

参考:新プリメール民法5 家族法〔第3版〕 (αブックス) [ 床谷 文雄 ]

   法律文化社2023年 床谷文雄・神谷遊・稲垣朋子・小川恵・幡野弘樹

 

 

 

この判例ですが、何もこの一冊だけではなく、別の出版社によるテキストでも紹介されています。実務上の多数派は、持戻しを認める立場なのですが、そこにはあまり触れずに、ストレートに判例を紹介・・・(-ω-;) おそらく、執筆者の意図というのか、バイアスみたいな物も感じますね。

「実務上はいざ知らず、学説の立場はこうだ!」

と、声高に叫んでいるようにも見えます。もっと専門的な、いわゆる「学者本」になってくると、さらにバイアスが強くかかってくる傾向を感じます。

 

「法学」に限らず、ほかの学術分野でも、例え初心者向けの「入門書」でも、多少のバイアスはかかってくるもの。盲目的に信じるというのもちょっと・・・。そう割り切って、複数の書籍を見比べたりする工夫も必要ですね。「でも金が・・・」そういう時は図書館を活用しましょう。

 

それではまた。

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊻生命保険と特別受益

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

今日は、生命保険と特別受益の話をしたいと思います。

一般的には生命保険の死亡保険金は、指名された受取人の「固有財産」として扱われるのが原則で、遺産総額に含まないのが普通とされています。

(この人に受け取って欲しいという、故人の意思を尊重する考え方)

 

が、しかし、一部例外で金額が過ぎると「貰い過ぎ」と認められ、「相続人みんなで分けなさい」ということもあります。

死亡保険受け取り額が、遺産総額の45%で「貰い過ぎ」と認められた判例があります。別の話ですが、死亡保険にかかる税額は、「500万円×法定相続人の頭数」以内が非課税とされています。このケースだと500×3=1500万円が非課税枠ぎりぎり一杯ということになりますが、この場合(50%)でも持戻しが発生する可能性があるということです。

 

そうは言っても、別に保険金を取り上げられるわけでもなく、「ひとり占め」はやめなさい。というレベルの話なので、家庭円満であれば特に問題ありません。では、次のケースに参りましょうか。

 

この場合は45%を超えてくるため、「持戻し」発生の可能性が考えられます。妻Bの貰い過ぎ是正の結果、二人の子の取り分が増えてますね。ちなみに、この場合の妻の取り分2400万円の内訳ですが、具体的相続分は2400-1800=600万円(別途保険金特別受益1800万円あり)つまり合計1800+600=2400ということになります。

 

ただし、何が何でも45%かと言えば、そうでもありません。遺産総額との比率のほかに、他の相続人とのバランス、同居の有無だとか、介護、あるいは生活実態などの要素で総合的に判断されます。

 

逆に驚き! Σ(・ω・ノ)ノ! 生命保険額が遺産額の2.7倍であったにもかかわらず、特別受益とは認めず、持戻しが発生しなかった判例もあります。

 

「貰い過ぎではないか!」と訴え出た故人の母が、故人とは別居しており、一方訴えられた妻は婚姻歴20年、婚姻前を含め30年の同居実績があり、故人に完全に経済的従属しており、暮らし向きもつつましい。一方で、訴え出た母の暮らし向きが比較的裕福であったなどの理由のようです。いい暮らしをしてるクセに、欲深い人も居るもんです。

(広島高裁令和4年2月25日決定)

 

いずれにせよ、掛け過ぎは禁物。保険料もバカになりませんから、ほどほどに・・・。

それではまた。

 

 

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊺この子を残して・・・ペットに遺産?

(-ω-;)ペットに遺産・・・どこぞの2時間ドラマで出てきそうなシチュエーション

(;'∀') あ・・・あくまでもフィクションだからね。火サスとか土ワイとかね。

( ゚Д゚) それにアレだぞ! こういう世界観もフィクションだぞ! 人の形しててもパソコンはアレだからな、権利能力ないぞ!

www.tbs.co.jp

www.tbs.co.jp

(-ω-;)また古いものを・・・

( ゚Д゚)ヲタク舐めんなよゴルァ・・・漫画全巻コンプリートじゃ! しかし、よく残ってたなこの公式サイト・・・。

 

 

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。いきなり結論で済みません。

民法上、ペットは「人」ではなく、残念ながら「物」の扱いになってしまいます。だから、縁起の悪い話ですが、可愛いワンコを車で轢かれても、加害者には「器物損壊」の罪を問う程度しかできません。

 

相続もしかりで、対象はあくまでも「人」。そのまんまの「人」つまり「自然人」は当然ですが、「法人」も含まれます。よく〇〇法人という言葉を耳にしますが、「法」によって「人」と認められた、略して「法人」です。ちなみに会社も法人の一種です。

 

普通は寿命の短いペットを人間がお見送り・・・、というパターンが大多数ですが、人の方が先立ってというケースがないわけではありません。実際、私の伯父がそうでした。

先代ワンコ「むく」 (~2016年)♀生年不詳。

諸々の事情で相続人が引き取れなかった子を、2008年秋、宮崎→伊丹へと飛行機に乗せて、我が家にお迎え。当然客室には連れ込みできませんので、専用のペット室で移動です。飛行機の轟音は怖かったと思います。ちなみに、このときはまだ、ガチガチの犬派。

 

たまたま引き取り手が居たからよかったものの、家族同然のペットの行く末、やはり気になりますね。かと言って、こちらもあちこちと体が悪い。どうやらこの子のお見送りをつとめられそうにない。そんな場合どうすればいいか・・・? 

 

実は、「人」を介して間接的に遺産を与える方法があります。それは「負担付遺贈」と呼ばれるやり方です。まず、誰か信頼のおける人を探して、その人に遺贈します。

民法1002条1項:負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の範囲を超えない限度額においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。

 

どういうことかと言えば、あらかじめそのような趣旨の遺言を遺しておくのです。例えば・・・・・・犬神佐兵衛風の文調で書いてみましょうか。

 

1項:受遺者〇〇は、その遺贈を受けたる財産のうち50%を、我が遺したる愛犬「ムク」の養育に充て、終生その面倒を見るべし。

2項:「ムク」の養育にあたり、その三度の食事は、宮崎産最高級地鶏のササミ肉を与うるべし。三時のおやつには、最高級のちゅーるを与うるべし。

3項:「ムク」が病みたる折には、受遺者〇〇は最先端医療技術を以ってその治療と延命に努むるべし。

4項:3項に定めたる事項は、受遺者〇〇が自己の財産を用いてペット保険に加入することを妨げない。

5項:受遺者〇〇が死亡等により、上記の義務を遂行することが不可能となりたる場合、遺贈されたる財産の残余部分につき、××が引き継ぎ、1項から4項に定むる義務をも引き継ぐものとす。

6項:1項より5項まで定めたる義務遂行につき、△△県弁護士会所属の◇◇弁護士を遺言執行者に指名し、我が遺言に定めたる義務について、誠実なる履行がされているか、その監督の任を委託するものとす。

 

こんな感じですかね?

最高級宮崎産地鶏や最高級のちゅーるが、常識的な養育条件として、そのまま認められるかどうかは置いといて、まあ、常識的な範囲内であれば、ある程度の条件を付けるのもアリかな? と思います。

 

任せられる個人が思い当たらないような場合、ペットの終生預かりをやっている「法人」に託すのも一つの手ですが、遺言執行者が口を出しにくくなるかも知れませんので、その辺は要注意。さらに、「経営破綻」のリスクも皆無ではありませんから、「ホントに大丈夫な法人なのか?」慎重な選定が必要になります。5項については、〇〇さんがダメになったら、「次は××さん。宜しく頼むよ」という予備的条項と呼ばれるものになります。

 

ちなみに、遺言執行者の権利義務については、次のように定められています。

1012条1項:遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

 

最後に、「ちょびっツ」の世界観ではどうなんでしょう。人型パソコンと結婚なんてエピソードもありました。ああいう世界だと、パソコンにも相続権が及ぶ? 若い頃、能天気に楽しんでいた漫画ではありましたが、いま考えてみると、また面白さがぶり返してきそうです。

 

それではまた。

 

 

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・㊹犬神家の事業継承と遺留分

「みんな~。体操じゃない・・・ヲタクなスキーヤー。いや、遺留分のお兄さんだよ♪」

 

いえ、なんでもございません・・・。ただの空耳ではないですか? 皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。しかしなんですなぁ・・・昨日のヲタクなネタのあとの、この真面目な話ですから。この落差は一体何だろう? まるで千賀滉大の投げる「お化けフォーク」のよう。

 

今回は、遺留分。何度も出てきた言葉ですね。推定相続人が有する、遺産相続の最低保障額を受け取る権利と、会社経営のお話です。もし、このなかに「街の社長さん」がいらっしゃれば、参考になればうれしいです。

 

例によって、犬神家の例を挙げながら解説したいと思います。いつものごちゃごちゃした系図ではなく、特別に資料を用意しました。実はこの遺留分。会社経営を引き継いだ人にとっては、なかなかの曲者です。これが過去の遺留分減殺請求権」というやつです。

図を見て見ていただくと解りやすいと思います。図のとおり、アンチ珠世勢力が会社財産(事業財産)に半分の「持分権」を有するという構図になります。

( ^ω^)・・・「持分権」と言われてもピンと来ない、かも。

 

例えばワンフロア10戸×5階建てのマンションがあったとして、その一室を貴方が買いました。すると、マンション全体に対して、1/50の「区分所有権」という、「持分権」に似た権利を貴方が有することになります。

 

そして、マンション管理において、「建て替え」など重大な変更事項については、区分所有者数及び議決権の4/5の賛成で可決できます。つまり口をだす権利が付随しているわけですね。

これを犬神家の事業経営に当て嵌めてみてください。遺留分減殺請求権によって、1/2の議決権をアンチ珠世勢力に握られるわけですから、珠世にとって、こんなにやりにくいことはありません。かつて、2018年まではそうでした。しかし・・・

 

2018年の法改正で、上の図のように変わりました。遺留分権利を三姉妹に行使された以上、珠世の肩に、1800億円相当の遺留分支払い義務がのしかかる事実は変わりませんが、ちょっと内容が違ってきます。名前も遺留分侵害額請求権」に変わっています。

 

「1800億円の支払い債務はあるものの、事業財産にかかる持分権(物権的効力)はなくなり、各自600億円ずつの”金銭債務”に化けてしまう」ということです。こうなってくると、珠世は3000億円の事業財産を思うがままに活用し、頑張って稼ぐことが可能となります。”金銭債務”・・・ひらたく借金の一種と理解してください。

 

そうして、商売が軌道に乗ったところで一挙に600×3=1800億円を支払ってしまえば、あと腐れなく解決にまでもっていくことができます。

もちろん、それまでのつなぎとして、支払期日の猶予を申し入れたり、のんびりと年100億円ずつ分割払いの申し入れも可能です。もっとも、この場合、少なくとも法定利率3%(民法:404条2項)がかかってきます。(約定によってそれより低い利率設定も可)

 

なお、法定利率ですが、令和8年4月1日以降、変更される可能性があります。(昨今の金融事情を見るに、据え置きか、やや下落になるかな・・・?)

 

なお、参考までに。中小企業を対象に事業承継と遺留分の調整を図るため、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」というものが、2008年に成立しましたが、

2018年度(データが古くてすみません)の実績では、この制度を利用するため、新規に家裁に申し立てられた件数はわずか18件だそうです。制度の定着としてはまだまだのようですね。

 

それではまた。

 

 

 

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