皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。
前回のお話で、生命保険の死亡保険金について触れましたので、これについてもスルーは出来ないなということで、今回は、勤め先から支給される「死亡退職金」について解説したいと思います。
死亡退職金の定義ですが、死亡退職によって支給される金額が、死亡から3年以内に確定したもので、退職金という名でなくとも死亡手当金や功労金など、死亡が原因になるものです。
ただし、いわゆる常識的な香典というか、弔慰金のようなものは入らないとされています。よほど高額であれば入ってくる可能性もありますが・・・。
なので、死亡退職金の支給がなくても、それに匹敵するような金額であった場合は、弔慰金と言っても要注意となります。
また、これらについて、生前に退職していた場合でも、支給額が死亡から3年以内に確定したものは入ります。
ちなみに、別の話ですが、死亡退職金の相続税非課税枠について、死亡保険金と同様に、500万円×法定相続人の頭数となります。
前回使った図をそのまま使いまわしw 上図の通り、勤め先に「配偶者に優先して支給」のような規定がある場合ですが、この場合は、配偶者の固有財産として扱われるため、特別受益として持戻しの対象にすべきではない。と考えられています。
また、固有財産であって相続財産にカウントされない・・・ということは、例えばBが相続放棄していたとしても、死亡退職金については、受け取りが可能という理屈になります。では、次のケースに参りましょう・・・
勤め先に明確な規定がない場合ですが、これではどうなるか? この場合、死亡退職金は相続人共有の相続財産に含まれることになります。すると、生命保険の死亡保険金のように、持戻しが発生するケースも出てきます。配偶者の勤め先の規定がどうなっているか? 一度確認してみることをお勧めします。
また、Bが相続放棄していた場合ですが、この場合Bは死亡退職金も受け取ることが出来なくなります。これが全体的な実務場面においては多数派のようです。ただし、持戻しを認めなかった判例もあり、説の対立も伺えます。
ある財団法人に、死亡退職金支払いの規定がなく、生存配偶者に死亡退職金が支給決定された。この事案においても、相続人代表として生存配偶者に支給されたのではなく、相続という関係を離れて、生存配偶者に支給されたものと解すべきである。
(昭和62年3月3日最高裁判決)
参考:新プリメール民法5 家族法〔第3版〕 (αブックス) [ 床谷 文雄 ]
法律文化社2023年 床谷文雄・神谷遊・稲垣朋子・小川恵・幡野弘樹
この判例ですが、何もこの一冊だけではなく、別の出版社によるテキストでも紹介されています。実務上の多数派は、持戻しを認める立場なのですが、そこにはあまり触れずに、ストレートに判例を紹介・・・(-ω-;) おそらく、執筆者の意図というのか、バイアスみたいな物も感じますね。
「実務上はいざ知らず、学説の立場はこうだ!」
と、声高に叫んでいるようにも見えます。もっと専門的な、いわゆる「学者本」になってくると、さらにバイアスが強くかかってくる傾向を感じます。
「法学」に限らず、ほかの学術分野でも、例え初心者向けの「入門書」でも、多少のバイアスはかかってくるもの。盲目的に信じるというのもちょっと・・・。そう割り切って、複数の書籍を見比べたりする工夫も必要ですね。「でも金が・・・」そういう時は図書館を活用しましょう。
それではまた。
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