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ボチボチわかる親族・相続法・・・23.この子誰の子? その参(嫡出否認と親子関係不存在と練習問題)

|ω・) ソーッ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。

 

 

再婚禁止期間からできちゃった婚もやったな・・・。そこから父性推定。今度は親子関係の否定です。あまり詳細にやるのもマニアックになり過ぎてどうかな? と思うところもあるので、要点を整理して「この子誰の子?」のパートは終わりとします。

 

これまでは推定を及ぼして父親を決定させる話でしたが、今回は逆にそれをひっくり返す話になります。どういう理由でひっくり返したいか? 主に父親側の意向で、自分のタネではないと主張したい時に起こす訴えで、次の二種類があります。

 

① 嫡出否認の訴え・・・その子を育てることに異存はないが、どうも自分の遺伝子を継いでいないのではないか? そこら辺はハッキリさせておきたいと思う時。

 

前回に触れましたが、女子の再婚禁止100日ルールが無くなってから、再婚を繰り返すようなケース。この場合は直近の婚姻で夫となった男子の子と推定されるわけですが、嫡出推定は法律上の推定に過ぎず、DNA鑑定など生物学的な反証を以って覆すことが可能です。子であることは認めても、自分の嫡出ではないと主張したい時に使われます。

2022年の改正によって、父親だけではなく、DV対応的な意味も有ってか子・母親からも嫡出否認の訴えが出来るようになりました。

 

② 親子関係不存在の訴え・・・嫡出否認よりもさらにきつく、親子関係そのものを否定したい時。例えば国際航路の船乗りや、長期間刑務所に収監されたりと、子作りが出来る環境であるはずがないのに出来ちゃった場合。これはさすがにおかしいと思いますね? このような状況証拠にプラスして、DNA鑑定などの物的証拠を揃えるケースも有ったりして争います。

 

ここで興味深いのは、裁判所は意外にも何がなんでも真実重視でも無いということ。とある判例の簡単な概要を・・・。

 

生物学上の元父親が、DNA鑑定などの物証を揃えて、現父親との親子関係不存在を訴えて出ましたが、最高裁で出た判決は意外にも・・・

「子供は現にこうして今の父親たちと幸せに暮らしている。裁判に訴え、物的証拠を以ってこの幸福な親子関係を破壊する行為は、生物学上の父親といえども許されるものではなく、権利の濫用にあたるものである」

と判断するものでした。このような考え方は「家庭平和説」と呼ばれています。お上もまるっきり鬼ではない・・・ということでしょうか?

 

 

・・・・・・というわけで、ちょっとした〇×問題です。

 

①2022年改正前の法律では、婚姻後に妻の産んだ子は夫の子と推定される。

×・・・改正後なら〇なんですがねw 改正前は婚姻後200日ルールがありました。引っ掛け問題~  (゚∀゚)アヒャ

 

②夫の嫡出否認権は子の出生後に嫡出と認めた場合には消滅する。

〇・・・いったん認めたら引っ込めることは許されません。子のためです。

 

③嫡出でない子を産んだ母は、認知をしない限り親子関係が成立しない。

×・・・認知するしないは父親だけの問題です。産んだら自動的に母と子の親子関係が発生します。

 

 

最後の問題、認知なんてものが出てきましたが・・・次回は認知の話題に触れていきます。そのあと養子のパートに入っていきます。

 

 

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相続小ネタ集4.・・・戸籍集めましょ~♪ 

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相続の場面で必ず必要になってくるのが戸籍。亡くなった人(被相続人)以外にもいろいろ・・・。ざっと上げて見ると、

 

被相続人・・・

出生から死亡までの戸籍謄本を一式。一生独身だった人は運よく戸籍一通で済む場合もありますが、大多数の人は婚姻した段階で親の戸籍(出生の戸籍)から抜けて、新戸籍を作成した形になっているため、この段階で最低2通は必要になります。生まれてからずっと同じ家で過ごして、結婚してからもずーっと実家住まいであったとしても新戸籍に移行されています。それから住民票の除票というやつ。もしくは戸籍の附票で代用しても可。除票というのは住民登録を抹消された証です。×年×月××日に死亡によって除籍という情報が入っていて、戸籍の附票にも同じ情報が記載されています。

 

役所に死亡届を出した段階で、住民登録は速やかに抹消されるので反映が早く、死亡したという事実が証明しやすく、また戸籍だけでは最後の住所地が確認できないので、住民票の除票・戸籍の附票のいずれかが必要になります。附票には、その戸籍に在籍している間の住所の履歴が一通り記載されているので、戸籍の附票を取ることが多いです。つまり戸籍の附票=住民票の代用と考えてください。

 

簡単に言うと、戸籍は動かさずに住民票だけを動かす機会の多い人、例えば銀行マン等々、やたら転勤やら単身赴任が多い人は、その分、戸籍在籍中の住所履歴が多いことになります。戸籍謄本だけで住所は証明できない・・・というのは、こういう住所コロコロ転がし族に対応出来ないからです。そのための住民票(戸籍の附票)なのです。

 

 

 

相続人・・・

現在の戸籍の謄本。住民票もしくは戸籍の附票。出生までさかのぼる必要はありません。被相続人の場合は死亡前に隠し子?(婚外子)が居ないかとか、離婚歴が有ってその間に出来て別れた子は居ないか?とかをさかのぼって調べる必要がありますが、相続人は関係ありません。(たまに代襲相続などのイレギュラー有り・・・被代襲人の出生までの戸籍が要ります。被相続人同様、他に代襲相続人が居ないかをチェックするためですね・・・後日また触れたいと思います)

 

さらに被相続人の方に話がもどりますが、普通の戸籍謄本ではなく「ハラ戸籍」を用意するように言ってくる金融機関がほとんどです。ハラ? 巨人の監督? ベタですね。それは辰徳。しかしあながち間違いでもありません。

ズバリ!

「原戸籍」と書きます。

3年前ですね・・・・・・まだ相続の素人さんだった私は、本気で、

「腹戸籍」と思っていました(゚∀゚)アヒャ

 

なんというか、こっちの方が戸籍用語っぽいじゃないですか?

しかしこれは間違い。

「原戸籍」と「現戸籍」 どっちも読み方によっては「ゲンコセキ」

どちらを指しているかわからないから・・・という趣旨の用語の「ハラ戸籍」です。

では、なぜみんな原戸籍にこだわるのか? 次回触れたいと思います。

 

これくらいの文量の方が丁度よくない? なんてね。

 

 

おまけ

従来のスクワットはもう古い! 筋トレマニアの先生が教えてくれた新しいスクワット。うむ。これはかなり追い込めます。個人的には10回1セット/日でも十分。

プランクも一緒に代用できるかも? by某御仁をゴリマッチョにする会会長より。

magazine.with-fit.com

 

 

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ボチボチわかる親族・相続法・・・23.この子誰の子? その弐(2022年改正後)

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前回の続きとなります。

ボチボチわかる親族・相続法・・・22.この子誰の子? その壱(2022年改正以前) - 行政書士sukekiyo-kunと考えよう! 犬神家の一族と親族・相続法 (hatenablog.com)

 

(-ω-;) 小ネタの後にこういうことを書くってのは、頭の切り替えが凄く難しいわけです。人知れぬ苦労。「苦労してもクロウ、クロウ。楽をしてもクロウ、クロウ・・・・・・お前が打たなきゃ明日は雨クロマティ」別に巨人ファンではございません。

 

 

というわけで、文章でクドクド言うよりも、まずは表を見て頂くことにしましょう・・・。2022年の改正で父性推定「この子誰の子?」がこのように変わりました。

簡単に言うと、従来の200日ルールと300日ルールによる推定は、医学的根拠に優れているという観点から維持。しかし、医学的な推定にとらわれることなく父親の認定をしていこうというものになりました。

 

目玉は二点。「できちゃった婚対応」と「再婚魔対応」です。

200日と言わず婚姻成立後に生まれたのなら、パパはこの人でいいじゃない? という柔軟な対応が加わりました。実務上では、婚姻成立後200日経っていなくても認知は必要なしという救済的な措置がとられて来ましたが、明文化されることによって救済もなにもない、法的に正式なものと認められました。

 

ただし、不幸にも婚姻届が間に合わず、先に出生してしまった場合は、認知が必要ということになると考えられます。

 

次に済みません。これ私が勝手に考えた用語です。「再婚魔対応」

2022年改正によって、いわゆる「100日ルール(女性の再婚禁止)」がなくなりました。ということは、妊娠した状況で複数回の婚姻。極端に言えば離婚の翌日に婚姻届を出すのもOKということになります。これによって「再婚魔」が出没? こんな時はどうするか? もう夫をとっかえひっかえです。こうなってしまうと父性推定が非常に難しくなります。そこで、出生に最も近い現在の夫が、責任を持ってこの子を養育していくであろうという事情からパパはこの人に決定ということになります。

 

再婚魔などという例を挙げるのはどうかというところですが、実はこれDVから逃れてきた妻に応用できます。前DV夫との婚姻、さらに現夫との婚姻で複数回。こうなった場合は出生にいちばん近い優しい現夫の子と推定されます。

 

 

 

随分と法整備がされてきた・・・・・・とは言え、それでも揉めるケースは後を絶たないというもの。次回以降は「この子俺の子じゃない!」の訴えについて見ていきましょう。

 

 

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ボチボチわかる親族・相続法・・・22.この子誰の子? その壱(2022年改正以前)

|ω・) ソーッ 皆さん、ご機嫌よろしゅうに。

 

離婚のパートも終了。ここからテーマは「親子」・「親権」・「後見」・「扶養」・「相続」と次第に面白くなってきますが、可能な限りシリーズを長く続けられるよう、丁寧に解説をしていきたいと思います。

(日々ネタ切れとの闘い・・・爆笑w)

 

 

まずは親子関係。一番の鉄則は、「子を分娩した女性=母」という公式です。これは何があっても揺らぎません。そのあと養子縁組などで「養母」がつくケースもでてきますが、「実方の親(実母)」という事実は一生消えることはありません。

 

ところが父は誰か?・・・ということになってくると若干話がややこしくなってきます。

「ととさまは誰?」

これが、この子誰の子問題というわけです。簡単に纏めてみました。2022年の法改正以前のお話になります。

 

「推定されない嫡出子」の扱いですが、実務上は夫の子として扱うという慣行で処理されて来ました。よってここは余り考える必要はなし。厳密に言えば「推定されない」のであるから、認知が必要という理屈になるのですが、いわゆる内縁状態からの「できちゃった婚」に対して、いちいちややこしい認知をさせるのも現実的ではないな・・・という配慮からのものです。

やがて離婚し再婚。ここで、どのタイミングで新しい夫との子が出生したかによって、大袈裟ですが明暗が別れることになります。離婚(婚姻解消)から300日を経過していれば、文句なく新たな夫の子と認められるのですが、若干早かった場合はどうなるか?

 

前婚でかなりの期間にわたって交渉.......

が無かったとしても、この300日ルールが障害となって、前夫の子と推定されてしまうのです。

 

さて、前婚の解消原因が夫のDVであった場合どうでしょう?

家裁による調停や裁判の場で、見たくもない凶暴夫と顔を合わさなければなりません。下手をすれば乱闘騒ぎの危険性も。これが嫌で出生届を控えるという無戸籍児が一時問題になりましたが、ここで実務上の救済措置が編み出されました。

 

2007年5月7日「法務省民事局通達」 これにより、懐胎(妊娠)時期が夫との離婚後であれば、調停・裁判の手続きなしに「懐胎時期に関する証明書」を添付することによって新夫を父とする出生届が出来るようになりました。

 

ただし、あくまでも実務上の救済に過ぎず、ある意味宙ぶらりんの状態であったため、いっそのこと明文化すべき! ということで2022年の改正に至ったという流れになります。

 

次回はその2022年改正の内容について触れてみたいと思います。

 

 

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らしくもなく、現状の親族法に物申してみる...特別養子というもの

|ω・) ソーッ 皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

 

数日前ですが、名古屋地裁で「同性婚の婚姻届け不受理は違憲という判決がでた模様です。残念ながら、判旨を見ると憲法24条1項の「性の解釈を拡大する」という部分は含まれていなかったようです。

 

憲法24条1項:婚姻は、両性の合意にのみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

しかし、これはこれで、画期的な判例にはなったと思っています。少し前に『ニュース23』で、女性同士のカップルに養育される養子の話が出ていました。その養子君、パパママともに女性なので、違和感、また違和感からくるコンプレックスから、

「僕の家、ちょっと変なんだよね・・・」という発言を、学校で漏らしたことがあるようです。

 

しかし、周りの友達は「そんなの別におかしくないよ」と諭してくれたと言うんですね。場合によったら、イジメの対象になっていたかも知れないのに・・・。そう言ってくれる友達に囲まれてる。

田んぼの蛙がうるさいから、殺してしまえと言わんばかりのモンスターがいると思ったら・・・、詳細はこちら→カエルの鳴き声にクレームは【子供達に格言を教える】良い機会だな - 死体を愛する小娘社長の日記

私もTwitterで見ましたけどね、こんなの受忍義務の範囲内やん・・・。

 

しかし、一方では、こういう理解のある子供たちもいる。おかしいこと満載のこの世ですが、まだまだ捨てたものではないと、少しだけ救われた気分でした。

 

当然、同性の夫婦なので、制限はあります。男親・女親がそろっていて、片方が25歳に到達していないと、特別養子は取れません。このカップルの養子君もおそらく普通養子(法定代理人による代諾縁組)ということになろうかと思います。

 

経済基盤がしっかりしていて、人格も高潔。が条件とされているのを前提に、さらに25歳以上という年齢制限は、社会経験がある程度必要だから・・・まあ、これは妥当として、夫婦がそろっていないと、特別養子が取れないというのは、何とかするべきなのではないかと・・・?

 

財源ばら撒きで、そう簡単に少子高齢化にハドメがかかるとも思えません。通常社会の養育システムから、不幸にもこぼれ落ちてしまった子を助ける。というのが特別養子の制度の趣旨です。いまやオールジャパンで子育てをしていかないといけない時代。とにかく担い手不足の時代です。

 

単身者の中にも、経済基盤がしっかりしてて、人格も高潔。特別養子を任せる価値のある人物は多いはず。そういう人も参画できるような、そんな制度の見直しも必要なんじゃないかと思います。男親・女親が揃っていなければ、特別養子を取ることは出来ない。このような古めかしい価値観・家族観はそろそろ払拭しなければならない・・・。

 

そう思うのは私だけでしょうか?

 

 

 

 

それではまた。失礼しました。

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・52.(最終回)遺留分と相続廃除と家督相続

みんな~ 遺留分のお兄さんだよ♪

 

|ω・) ソーッ  皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。

 

本日5月14日と言えば、ブログ開設6か月目の節目でもあります。ネタ切れの危機と常に隣合わせの毎日更新ですが、ブログ村参戦以来、まあまあ順調に育ってきています。日頃よりの応援に感謝したいと思います。

 

では、本題に入りましょう。「遺留分」というのは、相続におけるいわゆる「最低保障」のような意味合いを持つものですが、以下に7つの基本型をまとめています。これを覚えてしまうと、あとは応用が効きやすくなりますので、この際是非覚えて下さい。法定相続についてもある程度同時に覚えることができます。

 

中でも重要なのは、法定相続の優先順位です。これは遺留分についても同じことが言えます。以下、ほかにも覚えておいて頂きたいことを列挙します。

 

①優先順位

第0位(このような用語は有りませんが、筆者が説明の便宜上考案しました)

配偶者(離婚・死別は除外)が存在すれば、その人は常に相続人となります。ゆえに最強。つまり第0位です。

第1位 

直系卑属(子・孫・曽孫)

第2位

直系尊属(父母・祖父母)・・・ただし、第1位の直系卑属が不存在でない限り、法定相続での出番はありません。遺留分も同様です。

第3位

兄弟姉妹・・・第1位の直系卑属、第2位の直系尊属の両方が不存在でない限り、法定相続での出番はありません。さらに、何故か民法では遺留分も認められていません。

 

Q 「なぜ兄弟姉妹に遺留分がないのか?」

私は、昔の家制度の影響が残っているものと考えています。昔ながらの考え方でいけば、長男が家督相続し、次男以降は分家を作る、もしくは男子の居ない他家に養子に入る。女子ならば、稀有なケースとして婿取りをして、女当主になることも有ったでしょうが、大多数は他家に嫁入りし、その家の家計に編入されることになります。ゆえに、このように兄弟姉妹それぞれが独立した生計を構えているならば、遺留分を設けてまで保護する必要はないと言う価値観を現代に引きずっているものと思われます。

Q 「尊属にも遺留分は必要ないのでは?」

これも私見ですが、子の養育のために親は多額の育成費用を投下します。その一部であっても、親に回収させることによって、先立ってしまった子を養育した労をねぎらうような、いわゆる「論功行賞」的な意味合いがあると考えます。また、回収した遺留分を他の子の子、すなわち孫たちに対する教育援助等という形で贈与。つまり「再投資」の意義もあるのではないかと思います。

 

②相続廃除・欠格

もとは、家督相続の時代(明治民法時代)に、家督を継がせるのにふさわしくない、放蕩息子やドラ息子などの人物を、相続からはじき出す役割がありました。これが、以前の回で出ましたが「相続的協同関係の破壊法理」として論拠を備える形となって、現代に受け継がれたものと考えられます。ただし、あくまでも廃除・欠格となった人物が悪いのであって、その子には罪はありませんので、代襲相続させることは悪くはない。そういう配慮も見えます。

 

相続放棄した際に代襲相続できないのはなぜ?

「遺産は要らない」と相続人自らの意思で放り出すのが放棄ですから、この時点で放棄した人は相続人の資格も遺留分も喪失します。代襲相続というのは「貰えるものなら貰いたのに・・・」というケースにおける救済のような意味合いの物ですので、ハナから「要らない」ものを無理に代襲させる必要はないと言うことです。

 

相続放棄被相続人の生存中にはできないが、遺留分事前放棄は出来る。

一見矛盾しているように見えますが、現行法下で家督相続のようなことをやりたい時に、道を残しておいたのではないかと思われるフシがあります。遺留分を生前に放棄させておけば、あとは「遺言」で遺産を与えない旨を宣言するだけで良い。そのかわり、なにがしかの金銭を先に贈与して文句を言わせない・・・などの手法です。なお、遺留分事前放棄をするにあたって、家庭裁判所の審判を受ける必要があります。

 

 

 

最後に、外国のことはあまり関係ないかも知れませんが、英国にはそもそも「遺留分」がなかったりします。遺産の一部から「家族給付」を支給するという、似た制度はありますが、遺族の生活水準と、受けられる社会保障とのバランスによって減額されたりすることもあります。

 

また、ドイツでは卑属と相続が競合する場合、尊属の遺留分はありません。また、配偶者の遺留分についても、そもそも配偶者の法定相続割合が日本よりも低いため(配偶者+卑属での相続。配偶者は日本1/2:ドイツ1/4)結果的に遺留分の割合も低く設定されています。また、フランスでは、卑属が居ない場合にのみ、配偶者は1/4の遺留分を有するだけにとどまり、尊属の遺留分は規定されていません。

 

ドイツ・フランスともに、日本のような、配偶者についての内助の功、父母についての「養育費と養育の手間」といった「論功行賞型」の配分ではなく、卑属つまり将来世代に遺留分を多く残そうという「未来志向型」の配分となっています。こうして外国との比較を通して、古今東西の「価値観」の違いを探ってみるのもなかなか面白いものです。

 

以上、52回にわたったこのシリーズはこれにて一旦終了となります。いかがでしたか?少しでもお役に立つ知識の提供は出来たでしょうか? もしそうであれば、これほど有難いことはございません。予定はまだ決まっていませんが、次シリーズでは、あまり触れて来なかった親族法の基礎から解説したいと思いますので、その節はよろしくご愛顧ください。長々とお付き合い・・・ありがとうございました!

 

 

それではまた。失礼しました。

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相続?なにそれ、おいしいの?・・・51.熟慮期間って??

|ω・) ソーッ 

皆様こんばんわ、あるいはこんにちは。スケキヨです。ずっと寝不足気味です。毎朝5時くらいに、ちびのすけ(黒猫♂2歳)が「飯食わせー」と騒ぎだし、シカトしていると、窓から腹にフライングボディーアタックを食らわせてきます。強制起床させられます。スケキヨです。スケキヨです・・・・・・。

 

 

「さて・・・と」

「あれれ? お爺ちゃん、もうお帰りで?」

「まあ、いろんな話も聞けたしな」

「ちょっと待った。ついでに、ドリフじゃないけど、”もしものコーナー”も聞いてみません? どうせあっちに帰っても暇でしょ?」

「・・・しゃあないな。もう一話付き合ったるわ。で? なんの話なん?」

「熟慮期間ってやつですね」

「なに! ジュクジ・・・・・・?」

「はい。ストップ! それ以上言ったら違う方向に話がそれますからね!」

 

 

熟慮期間というのは、簡単に言うと「相続しよっかな? 放棄しよっかな?」とじっくり悩むために与えられた猶予期間のようなものです。例えば、お爺ちゃんの知らないところで異母兄弟が居て、その人が亡くなり、相続人調査の結果、お爺ちゃんの存在が浮上してきた。お爺ちゃんの存在を知った弁護士などから、「相続の通知」が送られてくることがあります。

 

「・・・このまえの話の蒸し返しかいな? だからワシにはそんなんおらんちゅうの!」

「いえいえ、だから”もしものコーナー”です。さて、お爺ちゃん。この通知を受けたとしたら、あなたはどうします?」

「・・・もらえるもんなら有難く頂いとくか」

 

(ФωФ)フフフ・・・ さて、ではこれを・・・

これで大体の時系列はイメージできると思います。通知を受けた日、つまりお爺ちゃんが「相続が開始したこと」を知ってから3か月が熟慮期間とされています。もしここで「相続します!!」と飛びついたらどうなるか? 狙い通り遺産があれば「(゚д゚)ウマー」 ですが、Yさんがお爺ちゃんと同じような境遇で、しかも10万円しか残していなくて、自治体による葬儀が20万円かかったとすると、差額の10万円が「負の相続」としてお爺ちゃんに被ってくることになります。さらに、消費者金融に100万円の借金が残っていたとしたら・・・?

 

「マイナス110万円かい? 恐ろしいな・・・」

 

それが相続。プラスもマイナスもひっくるめて引き継ぐものです。プラマイどっち? どうも借金の方が多そう・・・。という時には相続放棄家庭裁判所に申し出るほうが無難そうです。あと、これは過去の回で触れた事なんですが、最終奥義「魔法の相続」を使う手もありますね。

sukekiyo-kun.hatenablog.com

 

「魔法ってなんや?」

 

つまり、限定承認です。「プラマイどっちに転ぶか分からへんけど、プラスが出た時だけ頂きますわ」という、都合のいい相続手法ですね。相続人が明らかにお爺ちゃん一人だけ、という時にはすごく使いやすい手ですね。ちなみに、この熟慮期間中になにもアクションを起こさなかった場合、承認(単純承認・・・プラスマイナス全てを受け入れて相続する)と見做されます。

 

ただ、万が一ほかに相続人(共同相続人)が居た場合は、その人の同意を取り付けて、相続人全員で限定承認しないといけない。ここがちょと使いづらい所ではあります。

「通知」をしてきた弁護士等に「ほかに相続人は居ないか?」などと、探りを入れてもいいのでしょうが、大抵は「調査中ですので・・・」と言葉を濁される方が多いと思います。ある程度の歳になったら、面倒ですが、自分の出生まで遡って戸籍を一通り集めておいて「予習」しておくのもいいですね。本籍地を転々としてない人は、そんなに苦労はないと思いますが・・・。

 

私ごとですが、母が2020年に亡くなった時は大変でしたね。今でこそ行政書士試験に合格して、開業登録して、大学でも勉強して、ある程度わかるようにはなりましたが、その当時はド素人。結局、加古川・神戸・宮崎・鹿児島と、計4か所から戸籍謄本や原戸籍を取り寄せて、なんとか自力で手続きを完遂させました。今となってはいい経験だったと思います。限定承認とは関係ないけど。

 

「なるほど、アンタも大変やったんやな・・・」

 

ありがとうございます。で、お爺ちゃん。消費者金融の「借金払って下さい」という督促状ですが、わざと、それからわざとではないケースも含めて、相続開始3か月を徒過させてから送ってくる業者も居たりしますから要注意ですよ。

 

ある遺族が諸々の事情を見るからに、明らかに「借金なんて無い」と確信して遺産分割をやっちゃいました。そのあとになって「督促状」が来るケースもあります。この場合だと、優に3か月は過ぎていますので、支払に応じなければならない・・・。と思いがちですが、そうでもないんです。

 

最高裁昭和59年4月27日判決が代表的な判例なんですが、この判例では「借金の存在の通知」を受けた日を以って、新たに熟慮期間がスタートしたと判定されています。パニックになってドタドタするまま払ってしまう前に、弁護士に相談。弁護士費用がちょっとという人は「法テラス」に相談を持ちこめば、ある程度教えてくれることもあるようです。以上、持てる範囲の知識内で色々語ってみました。いかがでしたか? お爺ちゃん。

 

「まあ。生きとるうちに色々知っとったほうが、何かと得やった。ちゅうことやな?」

「まあそんなところですね・・・」

 

そうして、お爺ちゃんは満足げに黄泉の国へとお帰りになったそうな・・・。

おわり。

 

次回はいよいよシリーズ第一期最終回です。卒論研究で究めた遺留分の話について、思い切り趣味の世界に走ってお話したいと思います。場合によっては5000字を超える大作になるかもしれませんが、その際は宜しくお付き合いください。

 

 

それではまた。失礼いたしました。

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